Date: 2025/10/30
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。
皆様の会社では、従業員の「学びたい」「スキルアップしたい」という意欲に、どう応えていますか?
従業員一人ひとりの能力開発は企業の持続的成長に不可欠です。
しかし本格的な学びに必要な長期休暇中の生活費までを会社が保障するのは、現実的に難しい場合も多いでしょう。
この課題を解決する一つの手段として2025年10月1日に教育訓練休暇給付金が新設されました。
教育訓練休暇給付金とは?
教育訓練休暇給付金とは、労働者が自発的に教育訓練のための休暇を取得する際に、
期間中の生活費を保障する制度です 。
この制度の目的は、労働者が離職することなく、安心してスキルアップやリスキリングに
専念できる環境を提供することにあります 。
例えば、以下のようなケースで活用が想定されます。
‣海外部門への異動を希望する従業員が、語学習得に専念するために休暇を取得する 。
‣ITエンジニアが、より高度な資格を取得するために集中的に学習する時間を確保する 。
この給付金は事業主ではなく、休暇を取得する労働者本人に直接支給されます。
しかし、申請手続きには事業主による社内制度の整備や手続きの協力が不可欠であり、
制度を円滑に活用するためには、労使間で連携をとり、進めていくことが重要となります。
対象となる労働者は?
以下の①、②の条件をどちらも満たすことが必要です。
①休暇開始前の2年間に、被保険者期間が12か月以上あること
原則として賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月として計算します 。
②休暇開始前に、雇用保険の加入期間が5年以上あること
過去に失業給付などを受けたことがある場合、その前の期間は通算されないことがあるため注意が必要です 。
雇用保険の加入期間については、離職期間があっても1年以内であれば前後の期間を通算できます 。
(離職期間が1年以内であっても失業給付を受給していた場合には通算できません。)
支給対象となる休暇は?
従業員が取得する休暇が給付金の対象となるためには、
その休暇が以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります 。
①就業規則や労働協約に定められた休暇制度に基づく休暇であること
②労働者本人が自発的に希望し、事業主の承認を得て取得する、
連続30日以上の「無給」の休暇であること
業務命令による休暇は対象外です 。あくまで従業員の自発的な意思が前提となります 。
③次に定める教育訓練等を受けるための休暇であること
・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専等の学校が提供する教育訓練等
・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの
(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得等)
どのくらいの期間、いくらもらえる?
・給付日数
雇用保険の加入期間に応じてが異なります。
・給付日額
原則休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定されます。(失業手当の算定方法と同様)
年齢と雇用保険の加入期間によっても変動します。
手続きの流れ
注意点
‣ 解雇や雇止めを予定している労働者は給付金の対象になりません 。
虚偽の届出を行った場合、罰則の対象となる可能性があります 。
‣受給期間(休暇開始日から1年間)を過ぎると給付金の支給を受けれません。
受給期間中に妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の事由が生じた際は
受給期間を延長できる場合があります。
‣教育訓練休暇給付金を受給した場合、被保険者期間はリセットされます。
一定期間は失業給付などの雇用保険制度に基づく給付金は受給できなくなります。
‣教育訓練休暇を就業規則等に定めている必要があります。
就業規則等に定められていない場合は、給付金の対象外となります。
まとめ
今回は、従業員のリスキリングを支援する「教育訓練休暇給付金」について解説しました。
この制度をうまく活用することで、従業員側はキャリアアップ、会社側は必要な人材を育成することができます。
従業員と会社、双方にとってメリットのある本制度の内容を理解し、
組織の成長と個人のキャリア形成のためにご検討されたはいかがでしょうか?
本記事に関するご不明点や、労務管理全般でお困りのことがございましたら、
ハローワークもしくはお近くの社労士事務所までご相談ください。
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