こんにちは、ワールドワイドです。
従業員がご家族を社会保険の扶養に入れる手続きは、人事の手続きにおいて切り離せないものの一つです。
ですが、「内縁関係(未届)の家族を扶養に入れたい」というイレギュラーな申請があると、
普段と同じ手続きでいいか分からない、と弊社に問い合わせをいただきます。
今回は、事実婚のパートナーやその連れ子を扶養に入れるときに必要な手続きについて、ご説明いたします。
事実婚の関係者は社会保険(健康保険)の扶養に入れるのか
「扶養」と一口に言っても所得税法と健康保険では意味合いが異なります。
いちばん異なっているのが、今回説明する事実婚の配偶者やその子を扶養の対象として認めるかどうかです。
事実婚(内縁関係・未届)の配偶者
所得税法では、婚姻届を提出していない場合、つまり法律上の夫婦関係でなければ、控除対象配偶者として認めませんが、
健康保険では、「届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」は、被扶養者として認められます。
ただし、「届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある」というのは、
届出さえすれば法律上の配偶者になれる場合を言っています。
これがどういうことかと言いますと、
「法律上の配偶者がいるが、そちらとは別居していて、別の相手と同棲しているような場合」は、
法律上の配偶者は被扶養者にできますが、同棲相手のほうは対象にできない、ということを意味します。
この状態の同棲相手を扶養の対象として認めてしまうと、重婚を認めることと同義になってしまうというわけです。
実子ではない子供
新たに結婚した相手に連れ子がいるという状況の場合、
所得税法では、子と養子縁組して、法律上の親子にならないと16歳以上であっても扶養親族と認められません。
ですが、健康保険では年齢に関わらず被扶養者とすることができます。
事実婚のパートナーと条件はほぼ同じと考えていいでしょう。
また、子だけではなく、未届の配偶者の父母も同じように被扶養者にすることができます。
この場合の子や父母は、同居していることが条件です。
事実婚のパートナーやその連れ子を扶養に入れる場合の添付書類は
法律上の夫婦関係、親子関係にない場合の扶養加入の手続きは、
実務上では、イレギュラーな取り扱いとなります。
そのため、手続きには被扶養者異動届に加えて、
通常は求められない戸籍謄本や住民票などの添付書類を出す必要があることが多いです。
(重婚有無や同一生計の確認のためとされているようです。)
届出を出す前に、管轄の年金事務所に確認をしたほうがよいでしょう。
さらに、16歳以上の場合は、配偶者・連れ子の場合ともに、
扶養の収入要件を満たすことの確認書類(非課税証明書など)が必要となります。
※所得税法上の扶養対象外となるため、別途書面での確認が必要となるようです。
まとめ
今回は、事実婚のパートナーやその連れ子を扶養に入れたいというケースについてご説明しました。
要約すると、
①事実婚のパートナーや連れ子を健康保険の扶養に入れることは可能。
②事実婚の状態では所得税法上の扶養に入れることは出来ない。
③ ②の関係などから、①の手続きには各種必要書類が必要となる。
以上となります。
これらのお手続きにおいてご不明な点がございましたら、社会保険労務士に一度ご相談ください。