Date: 2025/8/5
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。
2025年労働施策総合推進法が改正され、事業主に対してカスタマーハラスメント防止対策を
講ずることを義務化する法案が可決されました。(2026年中に施行予定)
本日は、こちらの改正ポイントについてご紹介します。
【カスタマーハラスメントとは】
近年、顧客からの理不尽な要求や暴言など、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)が
社会問題として深刻化しており、単なるクレームを超え、従業員の就業環境を著しく害するものとして
企業にとって看過できない問題となっています。
カスハラは厚生労働省により以下の3つの要素をすべて満たすものと定義されています。
①顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、
②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、
③労働者の就業環境を害すること。
例えば、飲食店で大声で店員を罵倒する顧客、企業のコールセンターに執拗に電話をかけ続ける、
あるいはSNSで従業員個人を誹謗中傷する等、その形態は多岐にわたります。
このようなカスハラは、従業員の精神的な負担を増大させ、離職の原因となるだけでなく、
企業のブランドイメージや生産性の低下にも直結します。
しかし、多くの企業では具体的な対策が十分ではなく、「どこからがカスハラなのか判断が難しい」
「どのように対応すれば良いか分からない」といった悩みを抱えているのではないでしょうか。
【カスタマーハラスメント対策の義務化】
事業主は顧客、取引先、施設利用者などからの言動によって
労働者の就業環境が害されないように以下の措置を講じることが義務となります。
1. 事業主の方針の明確化と周知・啓発
「カスハラを許さない」という企業の方針を明確に示し、その上で、この方針を従業員に徹底的に周知・啓発すること。
2. 相談体制の整備
従業員がカスハラに関する相談ができる窓口を設置し、適切に対応できる体制を整えること。
それを従業員に広く周知すること。
3. 発生後の迅速かつ適切な対応
カスハラが発生した場合、事実確認を行い、被害を受けた従業員への配慮や、加害者への対応等を迅速かつ適切に対応すること。
4. 抑止のための措置
カスハラ防止のマニュアル作成や従業員への研修の実施など、カスハラそのものを抑止するための対策を講じること。
今回の法改正では、国、事業主、労働者、そして顧客等、それぞれの責務が明確化されました。
【まとめ】
カスハラ対策の義務化は、企業が従業員の就業環境を守る上で非常に重要な一歩です。
まずは自社のカスハラ対策状況を確認し、
今回の義務化に対応できるよう準備を進めていきましょう。
参考資料:
厚生労働省「カスタマーハラスメント 対策リーフレット」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukankyou/harassment/index.html