Date: 2026-04-25
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。
2024年10月から、医療現場で「長期収載品の選定療養」という制度が始まりました。
簡単に言うと、「ジェネリック医薬品があるのに、患者さんの希望で古い先発医薬品を使い続ける場合、
その差額の一部を自己負担してください」というルールです。
通常、労災保険(療養給付)は窓口負担ゼロが原則ですが、この追加負担はどうなるのでしょうか。
今回はこの「労災において薬の自己負担が発生する場合」について解説します。
■ 窓口負担ゼロのはずの労災で自己負担?
本来、労災保険の「療養(補償)給付」は現物給付、つまり必要な治療や薬が無料で提供されるものです。
しかし、今回のルール改定により、労災においても「ジェネリックではなく先発品を希望した場合」の差額分は、一部が患者(従業員)の自己負担となります。
これは公費や労災保険の対象外、つまり「贅沢品としての加算」扱いになるためです。
「通勤災害で骨折したのに、薬局で1,000円取られた!」といったトラブルが実際に発生し始めています。
事務担当者は、これが労災手続きのミスではなく、薬の選び方による「新しい仕組み」であることを理解しておく必要があります。
■ 自己負担が発生する具体的な条件
すべての先発品で自己負担が発生するわけではありません。
以下の条件を満たした場合にのみ、差額の4分の1相当が自己負担となります。
1. ジェネリック医薬品(後発品)の発売から5年以上経過していること。
2. 後発品への置き換え率が非常に高い(50%以上など)品目であること。
3. 医師が「先発品でなければならない」という医学的判断を下していないこと。
4. 患者自身の強い希望で先発品を選択したこと。
逆に言えば、「ジェネリックが身体に合わない」といった明確な理由で医師が先発品を指定した場合は、これまで通り自己負担は発生しません。
■ 会社や従業員が薬局で慌てないために
不必要なトラブルを避けるために、従業員には以下のことをお知らせしておくと良いでしょう。
・労災であっても、薬の種類によっては数百円〜千円程度の窓口負担が発生する場合があること。
・負担を避けるには、原則としてジェネリック医薬品を承諾すること。
・医師や薬剤師に「特にこだわりがなければ後発品で」と伝えること。
また、この自己負担分を会社が肩代わりして福利厚生として精算するかどうかは、各社の判断に委ねられます。
しかし、通常は個人の選択によるものとして、従業員本人の負担とされるケースが一般的です。
■ 制度の背景と今後の見通し
この制度は、医療費を抑制し、安価で信頼性の高いジェネリック医薬品の普及を
さらに促進するために導入されました。
労災だけでなく、健康保険や国民健康保険でも一律にスタートしています。
今後は、さらに多くの先発医薬品がこの「選定療養」の対象となっていくことが予想されます。
「労災=100%無料」という認識を一度アップデートし、
薬局での説明に驚かないよう準備しておきましょう。
【参考】
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について|厚生労働省
■ さいごに
労災保険の窓口でも「お財布」が必要になるケースが出てきたことは、大きな変化です。
従業員の方が治療に専念できるよう、こういった細かい制度変更も正しく伝えていきたいですね。
労災の手続き全般や、法改正への対応で迷われた際は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
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