Date: 2026/5/30
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。
育児休業給付金を2歳まで延長するために、あえて倍率の高い保育園に応募する、いわゆる『落選狙い』が話題となっています。
育休を延長したいという働く親の切実な気持ちには深く共感しますが、法改正や審査の厳格化が進む中で、こうした行為が不正受給とみなされるリスクはないのでしょうか。
今回は、2025年からの審査厳格化を踏まえ、正しい手続きと企業が取るべき対応について詳しく解説します。
1. 育児休業給付金の「2歳延長」と2025年法改正の背景
2. 何が「不適切な申請」とみなされるのか?具体的な境界線
3. 保育園落選狙いを防ぐための「審査厳格化」の具体策
4. 企業担当者が取るべき正しい実務対応と注意点
5. さいごに
■ 1. 育児休業給付金の「2歳延長」と2025年法改正の背景
育児休業給付金は、原則として子どもが1歳に達するまで支給されますが、保育園に入所できないなどの特別な事情がある場合、最長で2歳まで延長することが認められています。
しかし、この制度を逆手に取り、育休を延長して給付金を受け取り続けるために、あえて入所が困難な人気の園にのみ申し込むなどの『落選狙い』が問題視されてきました。
このような不公平な状況を解消し、真に保育を必要とする人に適切な支援を行き渡らせるため、2025年4月より延長審査の厳格化が行われることになりました。
法改正の背景には、制度の趣旨を逸脱した利用を防ぐという強い意図があります。
■ 2. 何が「不適切な申請」とみなされるのか?具体的な境界線
では、どのような行為が不適切な申請と判断されるのでしょうか。
基本的には、『入所の意思がないにもかかわらず、給付金の延長のみを目的として形だけの申し込みを行うこと』が該当します。
具体的には、自宅から通うのが明らかに困難な遠方の園だけを希望する場合や、定員に空きがある園の情報を意図的に無視し、倍率が数十倍に達する園のみを単一で希望するケースなどが挙げられます。
ハローワークの審査において、これらが『客観的に見て入所の意思がない』と判断された場合、延長の申請は却下され、給付金の支給がストップする可能性があります。
■ 3. 保育園落選狙いを防ぐための「審査厳格化」の具体策
2025年からの審査厳格化にともない、延長手続きの際にハローワークへ提出する書類が追加されました。
これまでは自治体が発行する『保留通知書(落選通知)』の提出だけで延長が認められていましたが、現在は市役所に提出した『保育所入所申込書の写し』の添付が必須です。
ハローワークは、申込書に記載された希望園の数や通園可能範囲、空き状況を詳細に確認します。
例えば、第1希望の園しか記入していない場合や、市役所からの紹介やあっせんを正当な理由なく拒否していた形跡がある場合は、入所の意思が希薄であるとみなされ、延長手続きが通りにくくなります。
審査官が個別の事情を総合的に判断する体制へとシフトしているのです。
■ 4. 企業担当者が取るべき正しい実務対応と注意点
企業の人事・労務担当者としては、従業員から育休延長の相談を受けた際、単に指示された手続きを行うだけでなく、制度変更に伴うリスクを正しく伝える必要があります。
従業員が『保留通知さえもらえば確実に延長できる』と誤解している場合、法改正後のルールを説明し、適切な保育活動(保活)を行うよう促すことが大切です。
また、申請時に必要な追加書類の準備を早めに呼びかけましょう。
特に、申込書の写しは申込時に保管しておく必要があるため、注意が必要です。
万が一、申請が却下された場合は、速やかに復職するか、あるいは無給の育休として対応するかを事前に労使で話し合っておくことも、復職時のトラブルを防ぐための極めて重要なポイントとなります。
■ さいごに
育児休業給付金の2歳延長に関する審査厳格化は、制度の本来の目的である『仕事と育児の両立支援』を正当に機能させるための措置です。
安易な『落選狙い』は経済的な不利益に直結するだけでなく、企業にとっても復職スケジュールの狂いや手続きの遅延といったリスクを生みます。
正しいルールのもとで適切な保活を行い、円滑な復職が実現できるよう、企業としても積極的な情報提供と対話を重ねてサポートしていきましょう。
ワールドワイド社労士事務所
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