Date: 2026/5/31
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。
会社を経営する上で、役員や従業員に支払う「報酬」や「賞与」のコスト管理は非常に重要です。
「役員の給与やボーナスには労働保険料がかからない」という話を聞いたことはありませんか?
実はこれ、労働法上の「労働者」の定義に由来する正しい仕組みなのです。
しかし、役員と従業員の賞与には、保険料の有無だけでなく、税務上の損金算入ルールにおいても決定的な違いが存在します。
今回は、役員報酬と労働保険料の関係、そして賞与における税務上の取り扱いの違いを分かりやすく解説します。
■ 役員賞与と従業員賞与:労働保険・社会保険の取り扱いの差
■ 税務上の大きな壁!役員賞与と従業員賞与の損金算入ルール
■ 実務上の注意点:兼務役員の場合の労働保険料の計算
■ 原則として対象外!役員報酬に労働保険料がかからない理由
労働保険(労災保険・雇用保険)は、基本的に「労働者の生活の安定と保護」を目的とした制度です。
ここでいう労働者とは、
事業主に雇用されて労働を提供し、
その対価として賃金を受け取る者
を指します。
これに対して会社の取締役や監査役などの役員は、会社と「雇用関係」ではなく「委任関係」にあり、経営の意思決定を行う立場にあるため、原則として労働基準法上の「労働者」には該当しません。
そのため、役員が経営の対価として受け取る「役員報酬」には、労災保険料も雇用保険料も一切かからず、労働保険料の計算基礎となる賃金総額にも含める必要はありません。
■ 役員賞与と従業員賞与:労働保険・社会保険の取り扱いの差
役員に対する「役員賞与」と、従業員に対する「従業員賞与」の間にも、保険料の取り扱いに大きな差があります。
従業員賞与には、労働保険料と社会保険料がどちらも満額でかかります。
一方、役員賞与には労働保険料は一切かかりません。
しかし、ここで混同しやすいの社会保険料(健康保険・厚生年金保険)です。
社会保険においては、役員であっても被保険者となるため、役員賞与であっても社会保険料はしっかりと徴収される点に留意が必要です。
■ 税務上の大きな壁!役員賞与と従業員賞与の損金算入ルール
さらに実務上、最も重要な違いとなるのが税務上の「損金算入(経費化)」のルールです。
従業員賞与は、原則として支給した期の経費として全額を損金に算入することができます。
しかし、役員賞与を損金に算入するためには、事前に税務署へ「事前確定届出給与」に関する届出書を期限内に提出し、その届け出た通りの日に、正確に届け出た通りの金額を支給しなければなりません。
万が一、1日でもズレたり、金額が1円でも異なったりした場合には、
役員賞与の全額が損金不算入となり、
会社に莫大な法人税等の負担が発生してしまいます。
■ 実務上の注意点:兼務役員の場合の労働保険料の計算
会社の役員の中には、取締役でありながら部長や工場長などを兼務する「兼務役員」が存在します。
兼務役員が「役員としての身分」と「労働者としての身分」を併せ持つ場合、労働者として受ける給与(従業員分給与)については、労働保険料の対象となります。
労働保険料を計算する際は、支給される給与総額の中から、役員報酬としての部分を除外し、労働者としての実態に基づく賃金部分のみを正確に抽出して申告しなければなりません。
この区分があいまいだと、申告漏れなどの指摘を受けるリスクがあります。
■ さいごに
役員報酬や役員賞与は、税務上の極めて厳しいルールをクリアしなければ、会社にとって大きな損失となるリスクをはらんでいます。
従業員賞与との違いを的確に理解し、社会保険の手続きや税務申告を正しく行うことで、適正なコスト削減とコンプライアンスの遵守を両立させましょう。
ワールドワイド社労士事務所
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