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パート・アルバイトの労働時間延長で助成金!「短時間労働者労働時間延長支援コース」を社労士が解説

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Date:2025/09/25

こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。

今回は、キャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長支援コース」をご紹介します。

企業の総務・人事担当者の皆様。 パートタイマーから「年収の壁で働けない」という相談はありませんか。 人手不足は深刻です。

しかし、従業員の希望も無視できません。 多くの企業が、このようなジレンマを抱えています。

この「年収の壁」は、労働者だけの問題ではありません。 企業にとっても、労働力確保の大きな障壁です。

そこで、課題解決を後押しする新制度ができました。 それが「短時間労働者労働時間延長支援コース」です。 

 

 

「短時間労働者労働時間延長支援コース」とは?

 

このコースは、短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険へ加入させた事業主に、助成金が支給されます。

労働者は社会保険への加入で保障が手厚くなり、処遇が改善されます。

事業主にとっての利点は、労働時間が増え、人手不足の解消が期待できます。

まさに、労使双方にとって「Win-Win」の制度と言えるでしょう。

 

どんな労働者が対象になるの?3つのチェックポイント

 

この助成金には、対象労働者の要件があります。 

  1. 新たに社会保険の加入要件を満たす有期契約労働者などであること
  2. 社会保険加入日の6か月前から継続して雇用されていること
  3. 過去2年以内に同じ事業所で社会保険に加入していなかったこと 

これらの要件を確認し、対象となり得る従業員を把握しましょう。

 

具体的に何をすればいい?助成対象となる取り組み例

 

助成対象は、週所定労働時間を延長し、社会保険を適用させる取り組みです。 延長時間と賃金増額率に応じ、複数のメニューが用意されています。

① 週所定労働時間を5時間以上延長する (この場合、賃金増額は必須ではありません)

② 週所定労働時間を4時間以上5時間未満延長し、かつ賃金を5%以上増額する

③ 週所定労働時間を3時間以上4時間未満延長し、かつ賃金を10%以上増額する

④ 週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長し、かつ賃金を15%以上増額する

企業や労働者の希望に合わせ、柔軟にプランを選べるのが特徴です。

 

いくら助成されるの?気になる助成額をチェック

 

本コースの助成額は、労働者1人あたり、企業の規模に応じて決まります。

  • 小規模企業※:50万円
  • 中小企業:40万円
  • 大企業:30万円

※「小規模企業」とは、常時雇用する労働者が30人以下の事業主です。

 

 

申請前に必ず確認!手続きの流れと注意点

 

この助成金で最も重要なのは、手続きの順序です。 以下の流れと注意点を必ず守ってください。

① キャリアアップ計画書の作成・提出 

まず「キャリアアップ計画書」を作成します。 提出先は管轄の労働局です。 提出は、取り組み開始日の前日までに済ませてください。

事後提出は不可のため、早めの準備が重要です。

② 取り組みの実施

計画書に沿って、労働時間の延長や社会保険の加入手続きを行います。

③ 6か月間の継続

取り組みを始めた後、その状態を6か月間継続し、賃金を支払います。

④ 支給申請

6か月分の賃金を支払います。 その翌日から2か月以内に、支給申請書を提出してください。 期間を過ぎると申請できないため注意が必要です。

 

まとめ

 

キャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長支援コース」のポイントは、

  • 目的: 「年収の壁」を解消し、企業の人手不足対策を支援します。
  • 対象者: 社保加入6か月以上前から雇用され、過去2年未加入の有期契約労働者などです。
  • 助成額: 中小企業で40万円、小規模企業では50万円が助成されます(1人あたり)。
  • 最重要ポイント: 必ず、取り組み開始前日までに「キャリアアップ計画書」を提出します。

従業員の働きがい向上と、企業の成長のために、この助成金をぜひご検討ください。

まずは、自社で対象となりそうな方がいないか、現状確認から始めましょう。

本記事に関するご不明点や、労務管理全般でお困りのことがございましたら、お気軽にワールドワイド社労士事務所までご相談ください。

 

参考資料

厚生労働省: キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」のご案内