Date:2026/01/28
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。
今回は、4月以降の「健康保険の被扶養者の年収確認方法」についてご紹介します。
「4月の契約更新で時給を上げたいが、扶養等の兼ね合いが心配」
「昨年は残業が多くて年収が増えたけれど、扶養から外れる必要があるの?」
新年度を前に、このような相談が従業員から寄せられていないでしょうか。
特に、今年の4月は社会保険の適用拡大が進んでいる中での年度更新となります。
誤った認識で運用していると、遡及して保険料を徴収される等のトラブルに発展しかねません。
4月以降の運用で絶対に外せない「被扶養者の年収確認」の基本と、実務上の注意点を解説します。
①対象期間の基準にご注意ください
被扶養者の認定で最も多い間違いが、「昨年の年収」で判断してしまうケースです。
所得税の扶養控除は「1月から12月の実績」で判断しますが、社会保険(健康保険)は全く異なります。
社会保険における収入確認は、「認定日以降の年間見込額」で行います。
つまり、「過去にいくら稼いだか」ではなく、「これから1年間にいくら稼ぐ見込みか」が判断基準となるのです。
具体的には、以下の計算式で判断するのが一般的です。
・直近3ヶ月の平均月収 × 12ヶ月
この金額が130万円(60歳以上等は180万円)を超えているかどうかがポイントです。
したがって、4月に時給アップや契約時間の変更がある場合は、その時点からの「新しい給与額」をベースに年収換算する必要があります。
19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります
令和7年度税制改正において、19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合における特定扶養控除の要件の見直し等が行われました。
扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く。)は、
現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変わります。
詳細はこちらの記事をご確認ください。
ブログ記事「【健康保険】19歳以上23歳未満の被扶養者要件変更について」
交通費や手当の扱いにご注意ください
見落としがちなのが「通勤手当」の扱いです。
税金の計算では、一定額までの通勤手当は非課税として扱われ、収入には含まれません。
しかし、社会保険の計算では、通勤手当も「収入」に含まれます。
また、家族手当や住宅手当などが支給されている場合も、原則としてこれらを含めた総支給額で判断しなければなりません。
「時給だけで計算したら129万円だったのに、交通費を入れたら130万円を超えてしまった」
このようなケースは非常に多いため、定期券更新や交通費改定のタイミングでは、必ず交通費を含めた総額でシミュレーションを行ってください。
「一時的な増収」と「恒常的な増収」の見極め
業務量増加による残業などで、一時的に収入が増えることもあるでしょう。
この場合、直ちに扶養から外れる必要があるかというと、必ずしもそうではありません。
「年収の壁・支援強化パッケージ」等の施策により、一時的な事情による収入超過であることが事業主によって証明されれば、
扶養をはずす必要がない場合があります。
「被扶養者の収入確認に当たっての『一時的な収入変動』に係る事業主の証明書」を提出することで
結果的に年収が130万円を超えても、直ちに扶養削除とはなりません。
ただし、これはあくまで「一時的」な収入の変動に限られます。
・基本給(時給)が上がった
・契約上の所定労働時間が増えた
・恒常的にシフトが増えている
このような、基本契約等の変更に起因する増収は「一時的」とは認められません。
4月の契約更新で条件が変わる場合は、特例措置の対象外となる可能性が高いため、厳格な年収確認が必要です。
また、この特例措置の適用期間や要件については、最新の行政通達を確認しながら慎重に進める必要があります。
「知らなかった」では済まされないのが社会保険の手続きです。
新年度のトラブルを防ぐためにも、早めに社内のパート・アルバイトの方々の契約内容と働き方を確認し、適切な運用を心がけましょう。
本記事に関するご不明点や、労務管理全般でお困りのことがございましたら、
お気軽にワールドワイド社労士事務所までご相談ください。
参考資料
・厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
・日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha/20141202.html
