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固定残業制度を有効活用するポイントとは⁉

こんにちは、ワールドワイドです。

 

「営業職には、営業手当を支払っているから残業代は払わなくてもいいでしょ?」

「うちの職務手当は、固定残業手当として支払っているから、いくら残業しても残業代は支給していません。」

「基本給の中に残業代を含むと就業規則に書いているから、残業代は支払っていません。」

 

弊社に新規に顧問契約の依頼があった時に、こんなことをおっしゃる経営者は意外と多くいますが、

その一方で実態を分析すると固定残業制度の条件を満たしていなかったというケースもしばしば見られます。

こういった状態の会社は、従業員から訴えられた場合には、多額の残業代を支払わなければならない状態となってしまっているのです。

 

では、固定残業制度自体が無効、無意味なのでしょうか?

実はそうではありません。

固定残業制度は、しっかりと要件さえ満たすことができたならば、有効な仕組みであり、業種によっては非常に相性が良い仕組みだと言えます。

 

固定残業制度とは

固定残業

固定残業って有効?

 

そもそも固定残業制度とは、実際の残業時間に関わらず、一定時間分の時間外労働、休日労働、深夜労働に対して毎月定額の残業代(固定残業代)を支払う制度です。

例えば固定残業代を20時間と設定していた場合、あらかじめ20時間分の時間外手当が従業員に支払われます。

このため、その月(給与計算期間)の残業時間が20時間までなら、別途の時間外手当は出ません。

ただし20時間を超えた分については、会社は追加で時間外手当を支払わなければなりません。

30時間働いたら10時間分は時間外手当を追加で支払う必要があるということです。

 

固定残業制度が有効な業種の例とは

固定残業制度が有効な業種は、例えば飲食店や美容院です。

弊社はそれなりに多くの飲食店や美容院を担当させていただいておりますが、

ある程度歴史のある飲食店や美容院では、固定残業制度も導入しないまま、時間通りに残業代を支給しているという会社を見たことがありません。

近年、働き方改革関連法の施行等により、労働時間や残業代に対する世論も変わってきてはいますが、飲食店などは、ちょっと前までは週に1回のお店の定休日だけが従業員のお休みの日、そしてそれだけ働いているにもかかわらず残業代を支給していないというのが当たり前でした。

 

法律論としては絶対にアウトですが、会社としてもそれだけ過酷な労働条件であることから、高めの賃金を従業員に提示し、働いてもらうといったことが、業界内では横行していました。

では、そんな会社に対して、労働基準法を守るために、残業代や休日勤務手当を支払えといったとして支払うことができるでしょうか?

そもそも残業代を込みにして高めの給与を提示しているわけですから、別途残業代を支払うとなると、経営が成り立たないというのは、自明の理です。

 

会社として、経営が厳しい中で別途残業代や休日勤務手当を支払うとなると、賃金月額を下げるしか方法はなくなってしまうのです。

従業員側としても賃金月額を下げることに同意し、貰えるかわからない残業代が支給されることを望みません。

であるならば、不利益変更の場合もありますが、個別に従業員の同意を取ったうえで、固定残業制度を導入することも

会社にとっての1つの答えではないかと思います。

 

固定残業制度の条件を満たすために必要なポイントとは

固定残業制度が有効と認められるためには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。

 

① 残業代が固定残業手当を超える場合には、差額を追加支給すること

当たり前ですが、固定残業手当は残業代を事前に支払っているだけであり、実際に計算された残業代が固定残業手当を超える場合には、追加で残業代を支給する必要があります。

 

② 固定残業手当が基本給と明確に分かれていること

固定残業手当と基本給が明確に分かれていない場合には、残業代の時間単価を算出することができないことから、追加で残業代を支払わないと表明しているようなものです。

そのような仕組みで固定残業制度と認められることはできません。

 

③ 固定残業手当が何時間分の残業に相当するのかが従業員に通知されていること

従業員側に何時間分の残業が固定残業手当に含まれているのかを通知していなければ、いったい何時間残業したら追加で残業代が貰えるのかがわからず、正しく運用されているのかがわかりません。

そのような仕組みも固定残業制度が認められない要因となります。

 

固定残業制度まとめ

・残業代が固定残業手当を超える場合には、差額を追加支給する

・固定残業手当が基本給と明確に分かれている

・固定残業手当が何時間分の残業に相当するのかが従業員に通知されている

以上3点のどれかが欠けているだけでも、固定残業制度とは認められません。

また、固定残業制度が否定された場合に怖いのは、固定残業手当も含めた給与額に対して残業代の支給命令が下る可能性が高い点です。

経営者が想像もしていなかったような多額の残業代の支給命令になってしまい、経営者が頭を抱えるような事案も、実際に存在するのです。

 

 

弊社では、固定残業制度を導入する際には、必ずこれらのポイントをクリアした形での固定残業制度を提案しています。

もし自社の制度が大丈夫かな?と疑問に思っている方は、お気軽にご相談ください。