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固定残業制度って有効!?

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営業職には、営業手当を支払っているから残業代は払わなくてもいいでしょ?

うちの職務手当は、固定残業手当として支払っているから、いくら残業しても残業代は支給していません。

基本給の中に残業代を含むと就業規則に書いているから、残業代は支払っていません。

 

うちに新規に顧問契約の依頼があった時に、こんなことをおっしゃる経営者が多くいますが、ほとんどのケースで固定残業制度の条件を満たしておらず、訴えられた場合には、多額の残業代を支払わなければならない状態となってしまっています。

 

では、固定残業制度自体が無効なのでしょうか?実はそうではありません。

固定残業制度は、しっかりと要件さえ満たすことができたならば、有効な仕組みであり、業種によっては非常に相性が良い仕組みだと言えます。

 

例えば、飲食店や美容院。私はそれなりに多くの飲食店や美容院を見てきたつもりですが、ある程度歴史のある飲食店や美容院で固定残業制度も導入せずに、時間通りに残業代を支給しているという会社を見たことがありません。

近年、働き方改革関連法の施行等により、労働時間や残業代に対する世論も変わってきてはいますが、飲食店などは、ちょっと前までは週に1回のお店の定休日だけが従業員のお休みの日、そしてそれだけ働いているにもかかわらず残業代を支給していないというのが当たり前でした。

 

法律論としては絶対にアウトですが、会社としてもそれだけ過酷な労働条件であることから、高めの賃金を従業員に提示し、働いてもらうといったことが、業界内では横行していました。

では、そんな会社に対して、労働基準法を守るために、残業代や休日勤務手当を支払えといったとして支払うことができるでしょうか?

そもそも残業代を込みにして高めの給与を提示しているのにも関わらず、別途残業代を支払うとなると、経営が成り立たないというのは、自明の理です。

 

会社としても別途残業代や休日勤務手当を支払うとなると、賃金月額を下げるしか方法はなくなりますし、従業員側としても賃金月額を下げることに同意し、貰えるかわからない残業代が支給されることを望みません。

であるならば、不利益変更にはなりますが、個別同意を取りながら、固定残業制度を導入すことも1つの答えではないかと思います。

 

固定残業制度が有効と認められるためには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。

 

① 残業代が固定残業手当を超える場合には、差額を追加支給すること

当たり前ですが、固定残業手当は残業代を事前に支払っているだけであり、実際に計算された残業代が固定残業手当を超える場合には、追加で残業代を支給する必要があります。

 

② 固定残業手当が基本給と明確に分かれていること

固定残業手当と基本給が明確に分かれていない場合には、残業代の時間単価を算出することができないことから、追加で残業代を支払わないと表明しているようなものです。

そのような仕組みで固定残業制度と認められることはできません。

 

③ 固定残業手当に何時間分残業に相当するのかが通知されていること

従業員側に何時間分の残業が固定残業手当に含まれているのかを通知していなければ、いったい何時間残業したら追加で残業代が貰えるのかがわからず、正しく運用されているのかがわかりません。

そのような仕組みも固定残業制度が認められない要因となります。

 

以上のどれかが欠けているだけでも、固定残業制度とは認められません。また、固定残業制度が否定された場合に怖いのは、固定残業手当も含めた給与額に対して残業代の支給命令が下る可能性が高い点です。

あっという間に多額の残業代になってしまいます。

 

弊社では、固定残業制度を導入する際には、必ずそれらの条件を満たした形での固定残業制度を提案しています。

もし自社の制度が大丈夫かな?と疑問に思っている方は、お気軽にご相談ください。