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社宅や食費…「現物給与」の評価を見直していますか?

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Date:2026/4/11
 
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。

従業員の皆さんのモチベーションアップや定着のため、社宅提供や食事補助などの「福利厚生」は非常に重要です。

しかし、その「現物給与」の評価が、知らず知らずのうちに会社の社会保険料負担を押し上げている可能性があることをご存じでしょうか?

今回は、見落としがちな現物給与の評価基準と、それが社会保険料に与える影響について、分かりやすく解説していきます。

 

 

 

 

 

■ 「現物給与」とは?基本的な考え方

まず、「現物給与」とは何か、基本的な考え方から見ていきましょう。

現物給与とは、その名の通り、現金ではなく「モノやサービス」で従業員に支給される給与のことです。

例えば、会社が提供する社宅や寮、社員食堂での食事、通勤定期券の支給、自社製品の割引購入などが代表的な例として挙げられます。

これらは従業員の生活を支え、福利厚生として非常に重要な役割を果たしています。

しかし、税金や社会保険料の計算においては、これらの現物給与も「経済的な利益」とみなされ、原則として給与の一部として評価されます。

特に社会保険料においては、現金給与と現物給与を合わせたものが「報酬」とされ、その額に応じて保険料が計算されるため、現物給与の適切な評価は、会社の負担、そして従業員個人の負担にも直結する重要なポイントとなるのです。

福利厚生だからと軽視していると、思わぬコスト増につながる可能性もあります。

この基本を理解することが、適切な現物給与の管理の第一歩となります。

 
 

■ 社宅、食事支給…見落としがちな現物給与の評価基準

現物給与の中でも、特に多くの企業で見られるのが「社宅」「食事支給」です。

これらは福利厚生として非常に有益ですが、その評価基準を見落とすと、社会保険料に大きな影響を与える可能性があります。

では、具体的にどのように評価されるのでしょうか。

社宅(寮)の場合、会社が従業員に住宅を貸与する際、一定の要件を満たせば、会社が受け取っている家賃と、国が定める「賃貸料相当額」との差額が現物給与として評価されます。

この賃貸料相当額の算出方法は複雑で、固定資産税の課税標準額や床面積など複数の要素から計算されます。

会社が相場より大幅に安い家賃で社宅を提供している場合、その差額が報酬とみなされ、社会保険料の対象となるのです。

食事支給についても、会社が従業員に食事を提供したり、食事代を補助したりする場合、その費用が原則として報酬とみなされます。

ただし、一定の条件(従業員が食事代の標準価額の3分の2以上を負担していること、会社の負担額が月額3,500円以下であることなど)を満たす場合は、現物給与として課税されない・報酬とみなされないといった取り扱いがあります。

これらの基準を正確に理解し、適切に評価することが、社会保険料を適正化する上で不可欠です。

 
 

■ なぜ現物給与が社会保険料を押し上げるのか?

「現物給与が社会保険料を押し上げる」とは具体的にどういうことでしょうか。そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。

社会保険料(健康保険、厚生年金保険)は、毎月の給与(報酬月額)をもとに決定される「標準報酬月額」によって計算されます。

この「報酬月額」には、現金で支払われる給与だけでなく、先ほど説明した現物給与も含まれることになっているのです。

つまり、会社が提供する社宅や食事補助などの経済的利益も、現金給与と同様に報酬として評価され、合算されます。

例えば、現金給与が25万円の従業員が、月額5万円相当の社宅を会社から無償で提供されているとします。

この場合、その従業員の報酬月額は、現金給与25万円と現物給与5万円を合わせた30万円として計算されることになります。

結果として、この30万円を基に標準報酬月額が決定され、それに伴い会社と従業員双方の社会保険料負担が増加します。

特に、賃貸料相当額が高額な社宅を提供している場合や、食事補助の要件を満たしていない場合など、現物給与の評価額が大きくなると、標準報酬月額が一段階、二段階と上がることも珍しくありません。

これにより、会社は予定外のコスト増に直面し、従業員も手取り額が減るという影響を受ける可能性があるのです。

 
 

■ 評価を見直すメリットと具体的な改善策

現物給与の評価を見直すことは、会社と従業員双方にとって大きなメリットをもたらします。

まず、会社側から見ると、社会保険料の適正化によるコスト削減が最大のメリットです。

予期せぬ社会保険料の増加を防ぎ、予算管理をより正確に行うことが可能になります。

また、福利厚生制度を最適化することで、従業員のエンゲージメントを維持しつつ、企業の健全な経営にもつながります。

具体的な改善策としては、以下の点が挙げられます。

  1. 現物給与の評価方法を再確認する: 現在提供している社宅や食事補助について、その評価額が適正かどうか、改めて専門家(社会保険労務士など)に相談し、見直しを行うことが重要です。特に社宅の賃貸料相当額の算出は複雑なため、正確な評価が求められます。
  2. 福利厚生制度の最適化: 食事補助であれば、従業員からの負担割合を見直す、または会社負担額を調整することで、社会保険料の対象とならない範囲で提供できないかを検討します。また、社宅についても、賃貸料相当額と実際の徴収額のバランスを見直すなど、制度設計そのものを見直すことが有効です。
  3. 従業員への説明: 制度変更を行う際は、その目的と影響について従業員に丁寧に説明し、理解を得ることが不可欠です。透明性のある情報開示は、信頼関係の構築にもつながります。

現物給与の適正な評価は、単なるコスト削減に留まらず、企業のガバナンス強化にもつながる重要な経営課題です。

ぜひ一度、見直しをご検討ください。

■ さいごに

今回は、見落とされがちな現物給与が社会保険料に与える影響と、その評価を見直すことの重要性について解説しました。

福利厚生は従業員にとって大きな魅力であり、企業として大切にしたいものですが、その運用方法によっては予期せぬコスト増を招く可能性があります。

特に社宅や食事支給といった現物給与は、税法上の取り扱いだけでなく、社会保険料の計算にも大きく影響します。

自社の制度が適切に評価されているか、社会保険料の観点から最適化の余地がないか、定期的に見直すことを強くお勧めします。

もし、自社での評価が難しいと感じる場合は、ワールドワイド社労士事務所にご相談ください。

 
 

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