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副業社員の社会保険手続き:二以上事業所勤務届

Date:2026/4/4

 
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。

最近、「副業」が当たり前になり、複数の会社で働く方が増えていますね。

そんな中で、「副業先でも社会保険に加入することになったけど、どうすればいいの?」と戸惑う声も耳にします。

特に「二以上事業所勤務届」という書類は、聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。

この複雑な手続きについて、今回は皆さんの疑問をスッキリ解消できるよう、分かりやすく解説していきます!

 

 

 


 

■ 副業先での社会保険加入、その条件とは?

副業が一般化する中で、「私も副業先で社会保険に入らなきゃいけないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

原則として、パートやアルバイトの方と同様に、以下の条件を満たすと社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務が生じます。

【社会保険加入の条件 ※短時間労働者の場合】

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 月額賃金が8.8万円以上であること
  • 雇用期間が2ヶ月を超える見込みがあること
  • 学生ではないこと
  • 特定適用事業所(被保険者数が51人以上の企業)に勤務していること(もしくは、労使合意に基づき任意適用されている事業所)

この条件は、主たる勤務先でも副業先でも同じです。

つまり、副業先がこれらの条件を満たせば、そこでも社会保険に加入することになります。

両方の事業所で社会保険の加入条件を満たす場合、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 二以上事業所勤務届」を提出し、どちらか一方の事業所を「主たる事業所」として選択する必要があるのです。

これにより、保険料は両方の事業所の報酬を合算して計算されることになります。

ご自身の状況がこれに該当するかどうか、まずは確認してみましょう。

 
 

 
 

■ 「二以上事業所勤務届」って何? なぜ必要?

さて、いよいよ本題の「二以上事業所勤務届」についてです。

これは、健康保険法および厚生年金保険法において、「複数の事業所で働き、かつ、それぞれの事業所で社会保険の被保険者資格を満たしている場合」に提出が義務付けられている書類です。

具体的には、前述の通り、本業と副業の両方で社会保険の加入要件を満たした際に必要となります。

【なぜこの届出が必要なのか?】
社会保険は、本来一つの健康保険組合や年金機構で管理されます。

しかし、複数の事業所で被保険者となる場合、それぞれの事業所から別々に保険料が徴収されてしまうと、重複したり、正しい保険料が計算できなかったりする可能性があります。

この届出を提出することで、年金事務所は「この人は複数の事業所で働いている」と認識し、両方の事業所の報酬月額を合算して、一つにまとめて社会保険料を計算・決定します。

そして、この合計額を、原則として報酬額の割合に応じてそれぞれの事業所に振り分け、徴収することになるのです。

これにより、被保険者は適切な保険料を支払い、将来の年金額や健康保険の給付も正確に受けることができるようになります。

手続きを怠ると、将来的なトラブルに繋がりかねませんので、必ず提出しましょう。

 
 

 
 

■ 届出書の具体的な書き方と提出方法

「二以上事業所勤務届」は、年金事務所の窓口や日本年金機構のウェブサイトから入手できます。

書き方は一見複雑そうに見えますが、ポイントを押さえれば大丈夫です。

【届出書の主な記載事項】

  • 被保険者情報:氏名、生年月日、基礎年金番号など、基本的な個人情報を記入します。
  • 事業所情報:主たる事業所(ご自身で選択します)と、従たる事業所の名称、所在地、事業所整理記号などを記入します。主たる事業所とは、今後の社会保険に関する通知などが主に送付される事業所になります。通常は給与額が多い方を選ぶことが多いですが、必ずしもそうである必要はありません。
  • 選択事業所:主たる事業所としてどちらを選択するかをチェックします。
  • 報酬月額:それぞれの事業所からの標準報酬月額を記入します。これは給与明細などで確認できますが、不明な場合は各事業所の担当者に確認しましょう。


【提出方法】
原則として、ご自身が選択した「主たる事業所」を管轄する年金事務所に提出します。

郵送でも窓口でも可能です。

提出期限は、複数の事業所で社会保険の加入条件を満たした日から「10日以内」と定められていますので、速やかに手続きを行いましょう。

提出時には、基礎年金番号が確認できる書類(年金手帳など)や、各事業所の名称・所在地がわかるもの(雇用契約書など)を手元に準備しておくとスムーズです。

 
 

 
 

■ 社会保険料は一体どう計算されるの?

最も気になる社会保険料の計算方法についてです。二以上事業所勤務の場合、社会保険料は「主たる事業所」と「従たる事業所」の報酬月額を合算した「合計の標準報酬月額」に基づいて決定されます。

具体的には、以下のステップで計算されます。

  1. 各事業所の標準報酬月額を決定:それぞれの事業所で支払われている報酬(給与、手当など)を基に、標準報酬月額が決定されます。
  2. 合計標準報酬月額の算出:決定された各事業所の標準報酬月額を合算します。
  3. 保険料率の適用:合計標準報酬月額に、お住まいの地域や加入している健康保険組合の保険料率(健康保険)、および厚生年金保険料率を乗じて、社会保険料の総額が計算されます。
  4. 保険料の按分:算出された社会保険料の総額を、それぞれの事業所の報酬月額の割合に応じて按分し、それぞれの事業所が負担する保険料額が決定されます。


例えば、A社で月額20万円、B社で月額10万円の報酬を得ている場合、合計30万円の標準報酬月額に基づいて保険料が計算され、その保険料をA社が2/3、B社が1/3の割合で負担することになります。

この仕組みにより、どちらかの事業所から不当に多くの保険料が徴収されたり、逆に少なすぎたりすることがなくなります。

ご自身の給与明細を確認する際は、この按分された保険料が正しく反映されているか注意して見てみましょう。

 
 

■ さいごに

今回は、副業先でも社会保険に加入する際の「二以上事業所勤務届」について、その必要性から具体的な書き方、そして社会保険料の計算方法まで、詳しく解説しました。

副業が一般化する現代において、複数の事業所で働く方々にとって、社会保険の手続きは避けて通れない重要な課題です。

適切な手続きを行うことで、将来の安心へと繋がりますよ。

参考URL:

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構

 

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