Date: 2026/4/15
こんにちは、ワールドワイド社労士事務所です。
テレワーク(在宅勤務)が定着した今、これまで想定されていなかった新しいタイプの労災相談が増えています。
それが「自宅内での事故」に対する労災請求です。
職場ではなくプライベートな空間である自宅で、仕事中(あるいは合間)に起きたトラブルは、一体どこまでが「業務災害」として認められるのでしょうか。
■ 在宅勤務でも労災保険は100%適用される
まず誤解されがちなのが、「会社以外の場所での仕事には労災が降りない」という点ですが、これは間違いです。
厚生労働省のガイドラインでも、「テレワークを行う労働者にも労災保険法が適用される」と明記されています。
要件は通常のオフィス勤務と同じで、「業務を遂行している最中か(業務遂行性)」および「その業務が原因で発生したか(業務起因性)」の2点です。
しかし、プライベート空間である「自宅」での出来事であるがゆえに、この認定が非常にデリケートな判断になります。
■ 「トイレ」や「水分補給」への移動中の怪我:認定のポイント
自宅でPCに向かって仕事をしている間、ちょっと席を立ってトイレへ行く、あるいはお茶を飲みに行く。
この途中でつまづいて転倒し怪我をした場合、これは労災として認められる可能性が高いです。
理由は、生理現象である排泄や水分補給などは、「業務に付随する行為」とみなされるからです。
オフィスでトイレへ行く途中の事故が労災になるのと同様に、自宅であっても、就業時間内に作業を一時中断してトイレ等へ向かうプロセスは業務の延長線上にあると判断されます。
ただし、そこで「ついでに洗濯物を取り込む」「ペットの世話をする」といった行為が加わると話が変わってきます。
■ 認定されないケース:私的行為との境界線
逆に、テレワーク中に労災として認められないケースの典型は、「私事(プライベートな用事)」を原因とするものです。以下のような状況は業務起因性がないとみなされます。
・就業時間外(または休憩時間中)の事故。
・私用のために外出中の事故(例えば、お昼休みにスーパーへ買い物へ行った際の事故は、基本的に通勤災害にもなりません)。
・仕事と関係ない私的な行為(勤務中に趣味の作業をして怪我をした、自宅の掃除中に転落したなど)。
特に自宅の場合、「証拠」が本人(およびその家族)の証言に頼らざるを得ない場面が多く、
会社側としては「いつ、どのような作業をしていた際に、なぜその場所にいたのか」
という客観的なタイムラインを確認することが後の手続きで極めて重要になります。
■ テレワーク労災を防ぐための「環境整備」アドバイス
会社としては、物理的な職場環境を直接コントロールできないもどかしさがありますが、テレワーク規程などを通じて一定の安全配慮を行う必要があります。
・労働時間の明確な管理:ログ等で始業・終業・休憩をはっきりさせることで、事故が「就業時間内」かどうかの紛争を防ぎます。
・作業環境のチェック:厚生労働省のチェックリスト等を配布し、適切なデスク・椅子・照明が確保されているか、配線が足元で散らかっていないか等の自己点検を促します。
・連絡体制の構築:万が一事故が起きた際に、すぐに会社へ報告するルールを徹底します。時間が経ってからの報告は、業務との関連性を証明するのが難しくなるからです。
■ さいごに
「茶の間なら労災にならないだろう」という思い込みは禁物です。テレワーク中のトラブルは、今後さらに増えていくことが予想されます。社員から「自宅で転んだ」という報告を受けた際、慌てずに事実を確認し、適切なアドバイスができるよう備えておきましょう。
ワールドワイド社労士事務所
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