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【社会保険】2024年10月からの法改正でパートの働き方が変わる⁉

Date:2024/8/30

こんにちは、ワールドワイドです。

扶養内で働くか、扶養から出て働くかはまだまだ働く女性のなかでも大きなテーマ。

そのような方を雇用されている事業主さまも多いでしょう。

しかし、2024年10月からの法改正適用で

「自身が社会保険の適用となる=社会保険の扶養の範囲からはみ出してしまう可能性がある」

という方もおられます。

 

2022年10月にも改正がありましたが、適用される範囲がさらに拡大されます。

現在の働き方だと2024年10月から新しく社会保険の対象となる方を雇用されている事業主や人事部ご担当者様が

当該従業員様から社会保険の扶養内で働くか扶養から出て働くかの相談を受けた場合に、

どのようなことに気を付けるべきかについて解説します。

 

2024年10月の社会保険の適用拡大で何が変わる?

2019年まで、パート・アルバイトとして正社員の所定労働時間の3/4未満で働いている方は

社会保険の加入義務はありませんでした。

2020年からは従業員数501名以上で一定条件に該当するパート・アルバイトなど

短時間労働者は社会保険の適用を受けるようになりました。

 

しかし、2022年10月から、従業員数101名以上の企業において一定要件に該当するパート・アルバイト(短時間労働者)が

社会保険の適用を受けることになりました。

その要件とは下記のとおりです。

 

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2か月以上雇用される見込みがある
  • 学生ではない

 

そして今回、従業員数が101名以上から51名以上へと変更されることになりました。

つまり、従業員数(社会保険に加入している方の人数)が51名以上の会社で働くパート・アルバイト(短時間労働者)は、

こちらの条件に該当されれば2024年10月からは社会保険に自分で加入することになります。

配偶者の社会保険の扶養から外れたうえで、給与から保険料が天引きされることになるのです。

 

社会保険の適用拡大により、扶養の壁は3段階に

社会保険の「扶養の壁」は

「年収103万円の壁」「年収106万円の壁」「年収130万円の壁」

の3段階になりました。

 

ここからはそれぞれの条件を具体的に見ていきます。

1.扶養の壁その1「年収103万円の壁」=所得税非課税の範囲内で働く

この一つ目の壁は、パート・アルバイト(短時間労働者)自身の所得税を非課税にするという範囲を指します。

給与の支給を受けるときに所得税は一度天引きされるのですが、

年間103万円以内の給与収入しかない場合は年末調整か確定申告でその所得税を戻してもらえるのです。

 

2.扶養の壁その2「年収106万円の壁」=扶養の範囲内で働く(※企業の従業員数101人以上)

この2つ目の壁は、今回の社会保険適用拡大で発生したものです。

先ほど紹介した条件に該当しているパート・アルバイト(短時間労働者)が対象になります。

 

この方々はいままで配偶者の被扶養者ということで、健康保険証は配偶者の名前で加入していたものと思われます。

また、国民年金についても3号被保険者になるため保険料を支払う必要がありませんでした。

しかし、上記で紹介した条件に該当するパート・アルバイト(短時間労働者)の方は

この106万の壁(8.8万円×12月)を超えると、ご自分で社会保険料を支払うことになります。

仮に月の給与額9万円の方が適用拡大の対象企業にお勤めだった場合、

社会保険料は年額で約15万円となります

 

 

3.扶養の壁その3「年収130万円の壁」=扶養の範囲内で働く(※企業の従業員数51人未満)

この3つ目の壁は、従来の条件と同じです。

つまり、従業員規模の小さな企業で働いているのであれば、

配偶者の被扶養配偶者として健康保険に加入し、

国民年金は3号被保険者に該当する範囲内で働くことになります。

今現在の企業における従業員数が101人未満なのであれば、

2022年10月の時点では特にこの壁のまま変更がないということです。

 

4.扶養の壁を超える=年収130万円以上を稼ぐ働き方をする

4つめはお勤め先の企業規模に関わらず扶養の壁を超えた雇用条件で、ご自身で社会保険料を納めるという働き方です。

ここで問題になるのは「働き損」と呼ばれる逆転現象です。

年収が~150万円の方の場合、額面では扶養の壁内で働いている方より多くても、

社会保険料を支払うことによって実際の手取り額が少なくなるという逆転が発生しやすくなります。

これを防ぎたいという方の場合、おおむね年間150万(月額12.5万)円以上の給与収入を目指すことになるでしょう。

 

例として年収128万円・130万円・150万円の手取り額の概算を下にシミュレーションしてみました。(※)

  • A)年収128万円の扶養範囲内の方の手取り額⇒ 128万円 ←適用拡大の対象外企業に勤務
  • B)年収130万円の扶養範囲外の方の手取り額⇒ 130万ー社会保険約18.6万≒111.4万円
  • C)年収150万円の扶養範囲外の方の手取り額⇒ 150万ー社会保険料21.3万=128.6万円

このシミュレーションから、

扶養の範囲内で働いていた方が、新たに社会保険の適用範囲となった結果、

扶養の範囲外となって社会保険料が引かれることになった場合、

従業員様の感覚として実際の手取り額が増えたと感じるのは

年収151万円以上から

ということがご理解いただけます。

※2024年4月時点の石川県の40歳未満の方の社会保険料を元に計算しています。

(わかりやすくするために、手取り額から控除されるものを社会保険料だけとして計算しています。

実際は雇用保険料・所得税も控除対象になりますのでご注意ください。)

 

従業員様から社会保険の扶養内で働くか扶養から出て働くかの相談を受けた場合に、どのようなことに気を付けるべきか

社会保険の適用となる短時間労働者は、扶養から外れるため手取り額が少なくなるというデメリットがあります。

ですが、逆にメリットも複数あります。

こちらは別の機会にご説明したいと思いますが、

例えば健康保険の傷病手当金、出産手当金などの給付を受けることができる、

厚生年金の障害厚生年金の支給対象になる、

老齢厚生年金の支給対象になる、

そのほか、短時間労働者の中期的なキャリア構築がスムーズになるなどの効果もあります。

事業主様は、これらのメリットとデメリットをお知らせしたうえで、

短時間労働者にどのような雇用条件で働くかを選択していただくことになります。

この制度改正に伴う話し合いによって、

短時間労働者にとってキャリアアップの機会となる可能性となる反面、

話し合いが納得いかないものとなった場合には

転職のきっかけとなってしまう可能性もあります。

 

扶養の壁を超えるメリットとデメリットを相互に理解してモチベーションの高い職場づくりをしましょう

企業の状態によっては、社内規定などの抜本的な変更も必要になります。

しかしながら、それを差し引いても従業員様のニーズに応えることで

・モチベーションの高い職場づくり

・離職率の減少

などを見込むことも可能となります。

 

また、今後も健康保険ならびに雇用保険において、

さらなる適用拡大が計画されていますので、

この機会にチェックしてみてください。

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