こんにちは、ワールドワイドです。
本日は、最低賃金の基礎知識についてご説明していきます。
最低賃金とは?
最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならないとされる最低額の賃金のことです。
もし最低賃金額より低い賃金で契約した場合、法律によって無効とされ、
その場合は最低賃金額と同様の定めをしたものと見なされます。
最低賃金の意義・役割
最低賃金はどうして決められているのでしょうか。またその意義や役割は何なのでしょうか。
厚生労働省のサイトには以下のように書かれています。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
最低賃金制度とは(厚生労働省)
事業もしくは職業の種類または地域に応じて賃金の低い労働者の最低額を保障する役割が、最低賃金制度にはあります。
それにより労働条件の改善を図ることができるのです。
そして「労働者の生活安定」「労働力の質向上」「事業の公正な競争」に役立て、国民経済の健全な発展を促します。
これこそが最低賃金制度の意義と言えるでしょう。
最低賃金の種類
混同されることもありますが、最低賃金には、地域別最低賃金及び特定最低賃金の2種類があります。
・地域別最低賃金:産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金
・特定最低賃金:特定の産業について設定されている最低賃金
なお、地域別最低賃金及び特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
また、発行日は毎年10月1日が基本ですが、都道府県によって異なりますので注意が必要となります。
最低賃金決定までの流れ
厚生労働省の中央最低賃金審議会にて、毎年の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられます。
そして、その結果が毎年7月末に発表されます。
なお、中央最低賃金審議会は、
厚生労働大臣または都道府県労働局長の諮問に応じて
「最低賃金に関する重要事柄を調査・審議する組織」です。
各地方最低賃金審議会が、最低賃金改定額の目安を参考に審議・答申し、都道府県労働局長が最低賃金を決定します。
最低賃金の適用される労働者の範囲
最低賃金は、正規雇用労働者やアルバイト、パートタイマーといった雇用形態に関係なく適用されます。
派遣労働者には、派遣先の最低賃金が適用されます。
最低賃金に含まれる賃金
最低賃金は通常の労働時間、労働日に対応する賃金に限られます。
具体的には、実際に支払われる賃金から次にあげる賃金を除外したものです。
- 結婚手当など臨時に支払われる賃金
- 賞与といった1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 時間外割増賃金
- 休日割増賃金
- 深夜割増賃金
- 精勤・皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
最低賃金の計算方法
最低賃金額以上となっているかどうかは、賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金(時間額)と比較します。
賃金の種類によって、最低賃金の計算方法は異なります。
- 時間給の場合
- 日給の場合
- 月給の場合
- 出来高払制やそのほか請負制によって定められた場合
それぞれの計算方法について見ていきましょう。
1.時間給の場合
「時間給≧最低賃金額(時間額)」
すべての地域別最低賃金と大部分の特定最低賃金については、時間額で定められています。
ただし、一部の特定最低賃金は、従前どおり日額と時間額の両方で定められているのです。
2.日給の場合
「日給÷1日の所定労働時間=時間額≧最低賃金額(時間額)」
なお日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合の計算方法は、「日給≧最低賃金額(日額)」です。
特定最低賃金については、
日額は日給制の労働者に、
時間額は日給制以外の時間給制・月給制などの労働者に
それぞれ適用されます。
3.月給の場合
「月給÷1カ月月平均所定労働時間=時間額≧最低賃金額(時間額)」
日額と時間額の両方が定められている特定(産業別)最低賃金は、
日額は日給制の労働者に、
時間額は日給制以外の時間給制・月給制などの労働者に
それぞれ適用されます。
4.出来高払制やそのほか請負制によって定められた賃金
「賃金の総額(出来高払制そのほかの請負制によって計算された賃金の総額)÷総労働時間(当該賃金算定期間において出来高払制そのほか請負制によって労働した総労働時間数で除した金額)≧最低賃金額(時間額)」
最低賃金に関する注意点
注意点として、最低賃金について知っておきたいところは次のとおりです。
- 最低賃金法に違反した場合の罰則
- 最低賃金額より低い賃金で契約した場合
- 従業員への最低賃金の周知義務
それぞれについて解説します。
1.最低賃金法に違反した場合の罰則
地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者は、50万円以下の罰金に処せられる場合があります(最低賃金法第40条)。
また産業別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合、最低賃金法の罰則は適用されません。
代わりに労働基準法の「賃金の全額払違反の罰則(罰金の上限額30万円)」が適用されます(労働基準法第120条)。
2.最低賃金額より低い賃金で契約した場合
労働者と使用者の双方が合意していても、法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものと見なされます。
したがって最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合、罰則(50万円以下の罰金)が科される可能性もあります。
3.従業員への最低賃金の周知義務
使用者は最低賃金の適用を受ける労働者の範囲や最低賃金額、効力発生日について、職場の見えやすい場所に掲示するといった方法で周知する必要があります。
最低賃金額は、賃金や物価などの動向に応じてほぼ毎年改定されています。
そして報道機関や市町村広報誌、各種団体の機関紙などを通じて周知されているのです。
最低賃金upを促す政府の支援策
最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業の情報はこちら(厚生労働省)のサイトにまとまっています。
厚生労働省・経済産業省が支援策を出しています。
これらの支援策につきましては、社会保険労務士が申請にご協力できることがあります。
最低賃金や賃金upについてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。